(次)第3
最低生活の内容としてその所有又は利用を容認するに適しない資産は,次の場合を除き,原則として処分のうえ,最低限度の生活の維持のために活用させること。なお,資産の活用は売却を原則とするが,これにより難いときは当該資産の貸与によって収益をあげる等活用の方法を考慮すること。
1 その資産が現実に最低限度の生活維持のために活用されており,かつ,処分するよりも保有している方が生活維持及び自立の助長に実効があがっているもの
2 現在活用されてはいないが,近い将来において活用されることがほぼ確実であって,かつ,処分するよりも保有している方が生活維持に実効があがると認められるもの
3 処分することができないか,又は著しく困難なもの
4 売却代金よりも売却に要する経費が高いもの
5 社会通念上処分させることを適当としないもの
(局)第3
資産保有の限度及び資産活用の具体的取扱いは,次に掲げるところによること。ただし,保有の限度をこえる資産であっても,次官通知第3の3から5までのいずれかに該当するものは,保有を認めて差しつかえない。
なお,不動産の保有状況については,定期的に申告を行わせるとともに,必要がある場合は更に訪問調査等を行うこと。
1 土 地
(1)宅 地
次に掲げるものは,保有を認めること。ただし,処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは,この限りでない。
ア 当該世帯の居住の用に供される家屋に付属した土地で,建築基準法第52条及び第53条に規定する必要な面積のもの
イ 農業その他の事業の用に供される土地で,事業遂行上必要最小限度の面積のもの
(2)田 畑
次のいずれにも該当するものは,保有を認めること。ただし,処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは,この限りでない。
ア 当該地域の農家の平均耕作面積,当該世帯の稼働人員等から判断して適当と認められるものであること。
イ 当該世帯の世帯員が現に耕作しているものであるが,又は当該世帯の世帯員若しくは当該世帯の世帯員となる者がおおむね3年以内に耕作することにより世帯の収入増加に著しく貢献するようなものであること。
(3)山林及び原野
次のいずれにも該当するものは,保有を認めること。ただし,処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは,この限りでない。
ア 事業用(植林事業を除く。)又は薪炭の自給用若しくは採草地用として必要なものであって,当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと認められる面積のもの
イ 当該世帯の世帯員が現に最低生活維持のために利用しているものであるか,又は当該世帯員若しくは当該世帯の世帯員となる者がおおむね3年以内に利用することにより世帯の収入増加に著しく貢献するようなものであること。
2 家 屋
(1)当該世帯の居住の用に供される家屋
保有を認めること。ただし,処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは,この限りでない。
なお,保有を認められるものであっても,当該世帯の人員,構成等から判断して部屋数に余裕があると認められる場合は,間貸しにより活用させること。
(2)その他の家屋
ア 事業の用に供される家屋で,営業種別,地理的条件等から判断して,その家屋の保有が当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと認められる規模のものは,保有を認めること。ただし,処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは,この限りでない。
イ 貸家は,保有を認めないこと。ただし,当該世帯の要保護推定期間(おおむね3年以内とする。)における家賃の合計が売却代金よりも多いと認められる場合は,保有を認め,貸家として活用させること。
3 事業用品
次のいずれにも該当するものは,保有を認めること。ただし,処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは,この限りでない。
(1) 事業用設備,事業用機械器具,商品,家畜であって,営業種目,地理的条件等から判断して,これらの物の保有が当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと認められる程度のものであること。
(2) 当該世帯の世帯員が現に最低生活維持のために利用しているものであるか,又は当該世帯の世帯員若しくは当該世帯の世帯員となるものが,おおむね1年以内(事業用設備については3年以内)に利用することにより世帯の収入増加に著しく貢献するようなもの。
4 生活用品
(1)家具什器及び衣類寝具
当該世帯の人員,構成等から判断して利用の必要があると認められる品目及び数量は,保有を認めること。
(2)趣味装飾品
処分価値の小さいものは,保有を認めること。
(3)貴金属及び債券
保有を認めないこと。
(4)その他の物品
ア 処分価値の小さいものは,保有を認めること。
イ ア以外の物品については,当該世帯の人員,構成等から判断して利用の必要があり,かつ,その保有を認めても当該地域の一般世帯との均衡を失することにならないと認められるものは,保有を認めること。
5 判断基準
1の(1)の当該世帯の居住の用に供される家屋に付属した土地,及び2の(1)の当該世帯の居住の用に供される家屋であって,当該ただし書きにいう処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるか否かの判断が困難な場合は,原則として各実施機関が設置する処遇検討会等において,総合的に検討を行うこと。
(局)第3−1−(1)宅地の保有容認基準
(局)第3−2−(1)家屋の保有容認基準
〔不動産保有状況の定期的申告〕
問(第3の13)不動産の保有状況については,定期的に申告を行わせることとされているが,具体的にはどう取り扱ったらよいか。
答 不動産の保有状況については,少なくとも固定資産税にかかる不動産評価額の評価替え(3年ごと)の際に併せて被保護者から書面により申告を行わせ(固定資産税納税通知書がある場合は写しを提出させること。),必要がある場合は,更に訪問調査等により的確に把握すること。
なお,保護の実施機関において関係機関の協力等により被保護者の保有不動産の状況を的確に把握できる場合には,必ずしも被保護者から申告を行わせる必要はないこと。
おって,不動産を取得又は処分したときの申告については,予め被保護者に申告の義務があることを十分に理解させ,速やかに申告を行わせること。
〔処遇検討会等の検討に付する目安〕
問(第3の15)局長通知第3の5にいう処遇検討会等の検討に付する目安を示されたい。
答 処遇検討会等における検討対象ケースの選定に当たっては,当該実施機関における最上位級地の標準3人世帯の生活扶助基準額に同住宅扶助特別基準額を加えた値におおよそ10年を乗じ,土地・家屋保有に係る一般低所得世帯,周辺地域住民の意識,持ち家状況等を勘案した所要の補正を行う方法,またはその他地域の事情に応じた適切な方法により算出した額をもって処遇検討会等選定の目安額とする。
なお,当該目安額は,あくまでも当該検討会等の検討に付するか否かの判断のための基準であり,保護の要否の決定基準ではないものである。
※(局)第3−5判断基準
〔処遇検討会等での検討内容〕
問(第3の16)処遇検討会等ではどのような点について検討を行うのか示されたい。
答 当該土地・家屋に居住することによって営まれる生活の内容が,最低生活の観点から,他の被保護世帯や地域住民の生活内容との比較においてバランスを失しない程度のものであるか,また,生活保護の補足性の観点からみて,居住用の不動産としてその価格が著しい不公平を生じるものではないか等について,住民意識及び世帯の事情等を十分勘案して長期的な視点で行うものとする。 具体的には,
@ 当該土地・家屋の見込処分価値の精査
A 当該土地・家屋の処分の可能性
B 当該世帯の移転の可能性
C 当該世帯員の健康状態・生活歴
D 当該世帯と近隣の関係
E 当該世帯の自立の可能性
F 当該地域の低所得者の持ち家状況,土地・家屋の平均面積,地域感情
G その他必要な事項
について検討し,当該世帯の実情に応じた土地・家屋の保有の容認あるいは活用の方策等の総合的な処遇方針について意見をまとめること。なお,土地・家屋の活用について処遇方針を樹立する際には,当該世帯に将来の生活の不安を抱かせることのないよう配慮する必要があることから,単に資産活用に係る関係諸機関との連携,活用までの間の急迫保護のあり方,指導指示の内容について検討するのみでなく,個別の世帯の事情に即した他法他施策の活用,不動産を担保とした貸付の活用,不動産の賃貸等による活用,公営住宅等への入居による活用,親族との関係など当該世帯の自立助長の観点から,全般にわたり十分な配慮を行った処遇方針の樹立に努める必要があること。
また,土地・家屋の保有を容認することが適当と判断された場合においても,検討の結果を活かして処遇の改善を図られる処遇方針の樹立について留意されたいこと。
〔当該地域の一般世帯との均衡を失することとならない判断基準〕
問(第3の6)局長通知第3の4の(4)のイにいう「当該地域の一般世帯との均衡を失することにならない」ことの判断基準を示されたい。
答(1)「当該地域」とは,通常の場合,保護の実施機関の所管区域又は市町村の行政区域を単位とすることが適当であるが,実情に応じて,市の町内会,町村の集落等の区域を単位として取り扱って差しつかえない。
(2)「一般世帯との均衡を失することにならない」場合とは,当該物品の普及率をもって判断するものとし,具体的には,当該地域の全世帯の70%程度(利用の必要性において同様の状態にある世帯に限ってみた場合には90%程度)の普及率を基準として認定すること。
※P132(局)第3−4−(4)−イ当該地域の一般世帯との均衡問(第3の17)寝たきり老人,身体障害者等のいる世帯が,当該寝たきり老人等の身体状況又は病状からルームエアコンを利用している場合であって,その保有が社会的に適当であると認められる場合は,当該地域の普及率が低い場合であっても次官通知第3の5にいう「社会通念上処分させることを適当としないもの」としてルームエアコンの保有を認めてよいか。
答 お見込みのとおりである。
〔生活用品の分類〕
問(第3の8)生活用品としての楽器,テレビ,カメラ及びステレオは,趣味装
飾品,家具什器又はその他の物品のいずれに分類すべきか。
答 「その他の物品」として取り扱うこと。
〔通勤用自動車保有〕
問(第3の9)次のいずれかに該当する場合であって,自動車による以外に通勤する方法が全くないか,又は通勤することがきわめて困難であり,かつ,その保有が社会的に適当と認められるときは,次官通知第3の5にいう「社会通念上処分させることを適当としないもの」として通勤用自動車の保有を認めてよいか。
1 障害者が自動車により通勤する場合
2 山間へき地等地理的条件,気象的条件が悪い地域に居住する者等が自動車
により通勤する場合
答 お見込のとおりである。
なお,2については,次のいずれにも該当する場合に限るものとする。
(1)世帯状況からみて,自動車による通勤がやむを得ないものであり,かつ,当該勤務が当該世帯の自立の助長に役立っていると認められること。
(2)当該地域の自動車の普及率を勘案して,自動車を保有しない低所得世帯との均衡を失しないものであること。
(3)自動車の処分価値が小さく,通勤に必要な範囲の自動車と認められるものであること。
(4)当該勤務に伴う収入が自動車の維持費を大きく上回ること。
※(次)第3−5社会通念上処分させることを適当としないもの
〔保護申請時における保険の取り扱い〕
問(第3の11)保護申請時において保険に加入しており,解約すれば返戻金のある場合は,すべて解約させるべきか。
答 保険の解約返戻金は,資産として活用させるのが原則である。ただし,返戻金が少額であり,かつ,保険料額が当該地域の一般世帯との均衡を失しない場合に限り,保護適用後保険金又は解約返戻金を受領した時点で法第63条を適用することを条件に解約させないで保護を適用して差しつかえない。
〔障害者の自動車保有〕
問(第3の12)障害者については通勤用の場合の他にも自動車の保有を認めてよいか。
答 障害(児)者が通院,通所及び通学(以下「通院等」という。)のために自動車を必要とする場合で,次のいずれにも該当し,かつ,その保有が社会的に適当と認められるときは,次官通知第3の5にいう「社会通念上処分させることを適当としないもの」としてその保有を認めて差しつかえない。
なお,次のいずれかの要件に該当しない場合であっても,その保有を認めることが真に必要であるとする特段の事情があるときは,その保有の容認につき厚生労働大臣に情報提供すること。
(1)障害(児)者の通院等のために定期的に自動車が利用されることが明らかな場合であること。
(2)当該者の障害の状況により,利用し得る公共交通機関が全くないか又は公共交通機関を利用することが著しく困難であり,自動車による以外に通院等を行うことがきわめて困難であることが明らかに認められること。
(3)自動車の処分価値が小さく,又は構造上身体障害者用に改造してあるものであって,通院等に必要最小限のもの(排気量がおおむね2,000cc以下)であること。
(4)自動車の維持に要する費用が他からの援助(維持費に充てることを特定したものに限る。),他施策の活用等により,確実にまかなわれる見通しがあること。
(5)障害者自身が運転する場合又はもっぱら障害(児)者の通院等のために生計同一者もしくは常時介護者が運転する場合であること。
※(次)第3−5社会通念上処分させることを適当としないもの
〔ローン付き住宅保有者からの保護申請〕
問(第3の14)ローン付住宅を保有している者から保護の申請があったが,どのように取り扱うべきか。
答 ローンにより取得した住宅で,ローン完済前のものを保有している者を保護した場合には,結果として生活に充てるべき保護費からローンの返済を行うこととなるので,原則として保護の適用は行うべきではない。