最低生活費の計算方法


 


(病気のため働けなくなったAさんの場合)
 Aさんは病気で両足が動かなくなり、働いていた会社も辞めざるをえなくなりました。妻と子がいますが、妻はAさんの介護で働けず、子どもはまだ小学生です。都営住宅に住んでいるため家賃は安いのですが、それも払えず、今後の生活の見通しが立たない状態です。

[世帯の状況]
Aさん、38歳 妻、35歳 子、10歳
Aさん 身体障害者手帳2級
    障害年金月額60,000円
都営住宅 家賃40,000円

注1:金額は東京23区の場合です。地域により金額は異なります。
注2:説明を単純にするため、福祉手当等の自治体独自の制度は考えていません。


最低生活費の計算のしかた

 最低生活費は八種類ある扶助を合計した金額になります。出産扶助、生業扶助、葬祭扶助は臨時的に適用されるものですので、基本的には生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助の合計が最低生活費となります。

(扶助の種類)
 1.生活扶助=衣食など暮らしの費用
 2.住宅扶助=家賃など住まいの費用(ロー ンを除く)
 3.教育扶助=小・中学校の費用
 4.医療扶助=病院や医院にかかる費用 (部屋代は除く)
 5.出産扶助=お産の費用
 6.生業扶助=手に職をつける,仕事につ くための費用
 7.葬祭扶助=火葬や埋葬など,葬祭の ための費用
 8.介護扶助=介護保険料と自己負担費用



扶助の内容
扶助の内容
扶助の内容


  具体的に見ていきます。

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一般的な生活費の認定 (生活扶助)


 一般的な生活費として生活扶助費を認定します。1類は年齢別、2類は世帯人員別で金額が異なっています。

 1類は世帯員全員について、年齢に相当する基準額を合算していきます。2類は世帯人員に相当する金額を認定します。

第1類
年齢別 基準額
0 15,140
1 〜 2 22,030
3 〜 5 27,250
6 〜 8 32,380
9 〜 11 36,850
12 〜 14 44,500
15 〜 17 47,830
18 〜 19 42,470
20 〜 40 40,410
41 〜 59 38,610
60 〜69 36,500
70 〜 32,690
第2類
人員 基準額 冬季加算(6区)
1人 43,910 3,130
2人 48,600 4,060
3人 53,880 4,840
4人 58,620 5,490
(1人増すごとに加算する額)
5人以上 440 200



(Aさんの場合)
 Aさんが身体障害者手帳2級を保有しているため、障害加算が認定されます。

[1類]
 Aさん 40,410円 +障害加算 27,140円
 妻   40,410円
 子   36,850円
 小計 144,810円になります。

[2類]
 3人  53,880円

 生活扶助費の合計は 198,690円となります。


病院に入院している
介護施設に入所している

加算について


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家賃、間代の認定 (住宅扶助)


 賃貸住宅に住んでいるときは、家賃相当額を住宅扶助として認定します。2人以上の世帯の場合は特別基準が適用され、基準額の1.3倍額までの家賃が認められます。基準額を超える賃貸住宅に住んでいる場合は、生活保護の決定後に転居するよう指導されます。

住宅扶助 一般基準 特別基準
別表第3の2の額(単身世帯) 1.3倍額(複数世帯)
13,000以内 53,500 69,600以内
[7人以上世帯83,500以内]

(Aさんの場合)
 都営住宅の家賃40,000円を住宅扶助費として認定します。



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教育費用の認定 (教育扶助)


 世帯に小中学校に就学している児童がいるときには、教育扶助を認定します。

教育扶助 基準額 小学校 2,150
中学校 4,160
特別基準
(学級費等)
小学校 600
中学校 730
他に教材代、学校給食費、交通費等実費支給
災害時等の学用品費の支給 小学校 11,100
中学校 21,600

(Aさんの場合)
 小学校に通う子どもがいるため、2,750円と教材代、学校給食費相当分(2,500円)を認定します。合計は5,250円となります。


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医療費の認定 (医療扶助)


 生活保護が適用となると、医療費は医療扶助から支払われるため自己負担なしに必要な医療を受けることができます。

 国民健康保険加入者はいったん国保から脱退し、保護が廃止になった段階で再度加入の手続きを取ることになります。社会保険加入者は、まず社会保険で支払われる分を除いた部分(通常は3割自己負担となる)に医療扶助が適用されます。

 なお、生活保護法以外の医療費公費負担制度が利用できる場合には、その利用を行う必要があります。


(Aさんの場合)
 国民健康保険に加入していたため、いったん脱退することになります。医療扶助が適用となるため、自己負担なく病院にかかれるようになります。



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介護費用の認定 (介護扶助)


 介護保険による認定を受けて、介護サービスを利用しているときは、介護扶助が認定されます。

 介護を受ける人が65歳以上のときは、自己負担1割が介護扶助として支給されます。介護を受ける人が40歳以上65歳未満のときは、自己負担10割が介護扶助として支給されます。



(Aさんの場合)
 世帯に介護保険の対象となる人がいないため、介護扶助の適用は行われません。


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合計の計算(Aさんの場合)


 Aさん世帯の最低生活費を計算すると、下記のようになりました。世帯に収入がある場合には、相当分を最低生活費から引き、残った金額が保護費として支給されます。

 Aさん世帯には月額183,940円が保護費として支給されます。また、医療費については自己負担額がなくなります。


(Aさん世帯の最低生活費)

扶助の種類 各扶助の合計 内              訳
生活扶助 198,690円  Aさん 40,410円 +障害加算 27,140円
 妻   40,410円
 子   36,850円
住宅扶助 40,000円  都営住宅の家賃相当分
教育扶助 5,250円  子供の基準額と給食費
医療扶助 α  世帯でかかる医療費の総額
介護扶助 0円  対象者がいないため、認定せず
合   計 243,940円
  +α
   


(Aさん世帯の収入)

収入がある人 収入の種類、金額
Aさん 障害年金 月額6万円


(Aさん世帯に保護費として支給される金額)

最低生活費 243,940円+α
収入充当額 60,000円  
保護費 183,940円+α


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病院に入院しているとき


 1ヵ月以上病院に入院しているときは、通常の生活扶助ではなく入院患者日用品費(通称、日用品費)が適用されます。また、2類の世帯員としてもカウントされません。単身世帯のときは、2類は認定されないことになります。

 公共料金や食事代が必要ないため、通常の生活扶助費に比べると低く設定されています。

入院患者日用品費 基準額 冬季加算
(6区)
23,410 1,010



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介護施設に入所しているとき


 老人保健施設など、介護保険に基づいて入所する介護施設に入っているときは、通常の生活扶助の代わりに介護入所者基本生活費が認定されます。このほかに介護施設加算が認定されます。

 また、2類の世帯員としてもカウントされません。単身世帯のときは、2類は認定されないことになります。

介護施設入所者
基本生活費
基準額 冬季加算
(6区)
10,000 1,010



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加算について


 世帯の状況に応じて、加算が認定されます。

(重複調整について)
 同一人物が、母子、障害者又は老齢加算のうち2つ以上の加算事由に該当するときは、最も高い加算額を算定します。ただし母子加算のうち児童2人以上の加算分並びに障害者加算のうち家族介護料及び他人介護料は重複調整せずに算定します。また、介護施設入所者加算については、老齢、母子及び障害者加算と重複調整を行います。

各種加算
妊婦 妊娠6ヵ月未満 妊娠6ヵ月以上
9,240 13,970
産婦 母乳のみの場合 産後6ヶ月間 8,590
その他の場合 産後3ヶ月間
母子 児童が1人 児童が2人の
場合に加える額
児童3人以上
1人増すごと
に加える額
居宅
23,520
入院入所
19,600
居宅
1,860
入院入所
1,570
居宅
950
入院入所
780
障害 障1・2級
国1級
障3級
国2級
重度障害者 特別介護料
居宅
27,140

入院入所
22,580
居宅
18,090

入院入所
15,060
14,610 世帯員
12,250
介護人
72,200以内
特別基準
108,300以内
老齢 70歳以上 居宅
18,090

入院入所
15,060
68歳以上
70歳未満
病弱等
居宅
13,570

入院入所
11,340
在宅患者 13,440
放射線 治療中 43,290 治ゆ 21,650
児童養育(小学校入学前) 第1子・第2子 第3子以降
5,000 10,000
介護施設 10,000

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