’99年断続雑記
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新米ワーカー日記


久しぶりの更新


精神医療に関する研修。実践的に精神障害者の社会的支援について学ぶ。やはり、理論中心の話よりも、現場を歩んできた人の実例を交えた話のほうが面白い。大学の講義にはとんと魅力を感じなかったものだが、やはり”現場の体験”というのはコトバの重みが違うのだろうか。

そのなかで、ひとつだけ例を。おもしろさの一端をわかってもらうために。

事例1)

保健所に電話が入った。
「息子の様子がおかしいので精神病院を受診させたい。けれど、連れて行くことができない」

プロの対応とは、こう。
あくまでフィクションとしてね。

電話口で、どうやら息子の症状は精神分裂症らしいと把握できた。その後...

「どうして連れて行けないのでしょうか。暴力的な症状があるのでしょうか」
「いいえ、妄想めいたことはいっているけれど、暴力を振るうようなことはありません」
「ご主人は、どうおしゃってるんですか」
「主人はあまり興味がないようで...」
「そうですか。奥様はどうお思いですか」
「病院に受診させなければいけないと思うのですけど...(沈黙)」
「ご主人は、あまり協力的ではないんですね。大変でしょうね」
「ええ、それに近所の目もあるし...息子がこんな病気にかかってるなんて、近所の人に知られたら...」

解説:

ここまでの話で、連れて行くことができないのではなく、夫の病気に対する無理解と、電話主が近所の目を心配している点が問題であることがわかった。注意すべきことは、簡単に息子の病院入院を手伝うべきではないということ。精神病の治療には他の病気以上にDrと患者の信頼関係が必要とされるが、無理矢理入院させることは患者のその後に大きなマイナスになる。退院後の服薬の中断、Drの指示を守らないことは、容易に再発につながるのだ。

そのことを電話主に話し、1.入院させるにしても事前に息子に説明しておくことが大切であること、2.夫に病気に対する理解を求めていく必要があること、を説得する。その際、電話主を責めたりせず、相手の立場を慮りながら相談を受けていく。

その後...

翌日、夫と一緒に息子を病院に連れて行き、即日入院となったという連絡を受けた。仮に電話を受けてすぐに強制入院の手続きを取っていたら、患者の回復はずっと遅れたはずである。


このような実例に基づいた対応策の講義を受けてきた。やはり、プロの対応はカッコイイな、と思ったことである。なお、思い出しながら書いたので、話はところどころわたしの記憶違い(わざとも)があります。ご了承を。


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