’99年断続雑記
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新米ワーカー日記


仕事に就く


生まれてはじめて定職に就いてから、一週間が過ぎた。あっという間の一週間だったが、やっと職場の雰囲気にも慣れてきた。最初はずいぶん戸惑ったものだが、今ではそれなりの対応ができるようになってきている。

採用後の配属は健康福祉部福祉課生活援護係。ケースワーカーという職種になる。あるいはソーシャルワーカー、現業員などとも呼ばれるが、職場における名称で通すことにする。通称ワーカー、生活保護を要する人に対して、援助の手続き、自立支援を行うらしい。大変な仕事である。

生活保護を受給している人を「ケース」と呼ぶ。最初の仕事は、ケースがどこで生まれ、どのように成長し、どのような生活をして生活保護を受けるに至ったのか、現在の状況はどのようなものなのか、一人一人の現状を把握するために彼らのファイルを繰ることだった。わたしが担当することになったのは、約50世帯。一人に割り振られる上限は70世帯程度なので、新任ワーカーとしては多くも少なくもないといったところか。ただ50の世帯、ひとつひとつにドラマがある。そのすべてを把握するのは、決して楽ではない。今まで会ったことのない、文字どおり”テレビドラマに出てくるような”世帯がファイルには詰まっている。

夫の暴力から逃げている母子家庭。アルコール依存症。精神分裂症。高齢者の一人暮らし。ホームレス...今まで触れたことのない世界が、リアルな現実感を持って自分にせまってくる。ファイルに記載されている人が、実際に窓口に立つことの衝撃。自分が凡庸な学生生活を送ってきたことを思い知らされる。

ケースワーカーの最初の仕事は、生活保護決定者(決定は相談者である査察指導間が行う。うちの場合は、係長がその任に就いている)の申請書類を受理し、その書類をまとめ、被保護者の申請の経緯や経歴をまとめることである。申請が受理されれば、ケースとして認定され、その後は自立に向けた指導を行っていくことになる。実際には定期的にケースの家庭を訪問し、その生活を調査し、必要があれば指導を行う。私の担当は約50ケース。5月以降は一人で訪問し、対処していかなければならないらしい。新卒ペーペーの職員にはやや荷が重いが、やるしかない。...というほど、熱意に燃えているわけでもナイんだけど。

[1999.04.10]


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