■「聞く」仕事 | |
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ここでは、生活保護を担当するケースワーカーの仕事にしぼってお話します。すべてを包括して話すことはわたしの力量を超えます。 まず、仕事発見ルームのケースワーカーの項を見てください。中学生向けに書かれたものですが、ケースワーカーとはどういうものかが簡潔にまとまっています。書かれている通り、仕事の中心は家庭訪問です。皆さんがイメージするのは小学生のころの先生が行った家庭訪問かと思いますが、だいたいあれと似たようなものです。ただ、子供さんの学校での様子を話すかわりに、病気や怪我の状態や求職活動の経過など、もっぱら「聞く」仕事である点が異なります。 また、必要に応じて生活保護を受けている本人以外にも、関係者や関係する機関に話を聞きに行くこともあります。 関係者としてポピュラーなのは、扶養義務者(親兄弟子供などの身内)です。昔は担当するケース数も少なく、地方自治体の予算も比較的潤沢だったので、地方への出張を通じて扶養義務者に話を聞きにいくこともあったようですが、最近では業務量が増え、旅費予算も削減の方向にあるため、近所に住む扶養義務者の話を聞くことで済ますことが多くなっています。 他に地域に住む民生委員や賃貸住宅の大家、近所の人からの申し出により話を聞くこともあります。これらの多くは苦情です。家賃を滞納してちっとも払ってくれない、夜中騒いで近所迷惑だから何とかして欲しい...など。通常はプライバシーの保護のため、当人が保護を受けているかどうかは扶養義務者以外には教えられないのですが、自分で「俺は生活保護を受けている。文句は役所に言え」と言ってまわる人もいます。 怒りの持っていき場のない方の話を聞き、相談に乗るのもケースワーカーの仕事になります。 関係機関は様々ですが、身近なところで医療機関があります。病状調査と呼ばれますが、担当医に話を聞き、保護を受けようとしている(受けている)人の病状を確認する極めて重要な業務といえます。聞くポイントはそれぞれの病状により異なりますが、「働けるかどうか」は生活保護の決定に当たっては重要な位置を占めます。 実際に足を運んで聞く以外にも、文書や電話連絡を通して話を聞くこともあります。戸籍照会や金融機関への調査は、申請時にはかならずやらなけばなりません。同様に、遠方の扶養義務者に扶養照会を発送することも必要です。自動車を保有しているときは自動車免許センターに車検証の写しを送ってもらったり、扶養義務者の所得証明を公用で取ったりと、本人調査についてケースワーカーは一定の権限をもっています。 このように、ケースワーカーは本人の申し立てを中心にして多方面に「聞く」作業を行います。ここで手を抜くと、不正受給の増加となって福祉事務所に大きなしっぺ返しがくることになります。その上で、保護を受けようとしている(受けている)人へ働きかけを行っていきます。 ■参考サイト 仕事発見ルーム(進路指導Net)-ケースワーカー 生活保護の不正受給(四国新聞社) ■Top |
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