’99年断続雑記
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新米ワーカー日記


計算ワーカー



 ケースワーカーは「聞く仕事」であるとお話しました。その上で、「さてこの世帯をどうしようか」となるのですが、申請中であれば保護を決定し、お金を出す必要があります。いっぽう、保護の必要がないという判定がでれば、却下して「なぜ却下になったのか」を説明しなければなりません。

 保護費の計算方法は別項で述べていますが、実務ではより詳細にお金の計算を行います。最近は一人あたりの担当ケースが増え、介護扶助などの新しい項目が増え、指導監査では書類の整備が重点項目となり、事務量は増加の一途となっています。このような現状から、「俺らはケースワーカーじゃなくて、計算ワーカーだ」と自嘲的に笑う職員もいます。

 ただ単純に保護費を計算するといっても、生活保護は生活全般に渡る様々な事象をもとに計算されるため、その内容に精通することは容易ではありません。また、保護を受ける人の生活に直に反映されるため、ミスは許されません。(とはいいながら、わたしも何度かミスしてますが)

 また、事務処理を手早く行い、必要となるお金がなるべく早く保護を受ける人に渡るようにすることもケースワーカーの仕事です。法律により保護の決定は申請日より14日以内に行わなければならないとされています。やむを得ない事情があるときは30日以内まで伸ばせますが、どうもこの期間が形骸化し「30日まではOK!」としている福祉事務所もあるようです。

 余談ですが、うちの福祉事務所が指導監査に当たったときに「なんでこんなに早く決定できるのか」という指摘がありました。扶養義務者や金融機関などへの調査回答が揃うのは14日間では無理だろうとの理由からです。申請から保護決定までの期間がすべて14日以内に行われていたので、おかしいと思われたのでしょう。

 私見となりますが、わたしは保護決定後に不利益変更(保護が取り消される)があることを十分に説明していれば、「保護の決定は早ければ早いほうがいい」と考えています。必要な調査を省いて決定を早めるのは賛成できませんが、生活保護は事実が判明したあとに変更を加えることができる制度です。「事務処理が大変だから」ということを理由にして決定を遅らせることは、保護を受ける人にとって不利益処分以外の何物でもありません。

 計算ワーカーになれないものが、ケースワーカーの仕事ができるはずはないんです。



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